1. SWIFTの現状と構造的課題
現在の国際送金の中核を担うSWIFTは、200以上の国と地域にまたがる11,500以上の金融機関を接続し、1日5,300万件以上のメッセージを処理する巨大ネットワークです。しかし、その規模の大きさとは裏腹に、構造的な課題を抱えています。
- コストの高さ:米国の銀行送金などにおいては、数十ドル規模の送金手数料や受取手数料がかかるケースがある
- 送金速度の課題:従来は3〜5営業日が一般的でしたが、現在は多くが数時間〜1日程度に短縮されています(中継銀行・規制・通貨等により遅延する例外あり)
- 為替コストの不透明さ:市場レートに対して1〜3%程度(場合によってはそれ以上)のマークアップが上乗せされるケースが多く、事前に正確な金額が把握しづらい
- 稼働時間の制約:実際の着金・入金反映は受取銀行や中継銀行の営業日・オペレーションに依存するため、週末や祝日は着金・入金反映が遅れるケースがある
SWIFTも「SWIFT gpi」や少額向け「SWIFT Go」の導入で改善を進めており、現在では多くが数時間〜24時間以内に着金するようになりました。しかし、数秒でネットワーク上の決済が完了するブロックチェーン送金と比較すると、バックエンドの処理速度において依然として差が存在します。
2. Ripple Payments(旧ODL)の仕組みと最新実績
Ripple社が提供する「Ripple Payments(旧On-Demand Liquidity)」は、XRP(近年ではステーブルコインであるRLUSD等も統合)をブリッジ通貨として活用し、送金元の通貨→デジタル資産→送金先の通貨と即座に変換することで、従来の中継銀行への依存を低減する画期的なシステムです。
2026年時点の主要実績
- 展開エリア:アジア・中南米を中心とする複数地域の送金回廊を展開
- 決済規模:累計で数十億〜数百億ドル規模の処理実績が公表されている
- XRPレジャーの決済速度:台帳上は3〜5秒で即時ファイナリティですが、実際の法定通貨の受取時間は利用サービスに依存します
- ネットワーク手数料:台帳上の処理1回あたりわずか0.00001 XRP水準
※これはXRP Ledgerの「ネットワーク手数料」であり、ユーザーが利用する「サービス手数料」とは異なります。
3.【比較表】SWIFT vs Ripple Payments — 6つの評価軸
| 評価項目 | SWIFT | Ripple Payments (XRP) |
|---|---|---|
| 決済完了時間 | 数分〜数日(利用ルート等による) | 台帳上は数秒(実際の受取はサービスによる) |
| 手数料(ユーザー負担) | 数千円〜数万円 / 回(受金手数料等含む) | 数百円〜数千円 / 回(サービス設計に依存) |
| 為替・流動性コスト | 2〜5%のマークアップ等 | 通貨・流動性に依存(一般に低く抑えられる傾向) |
| 透明性 | 相対的に低い(中継銀行のプロセス等が見えにくい) | 台帳上でトランザクションが記録される |
| 稼働時間・影響要素 | 銀行・受取側の処理体制・営業日の影響を受けやすい | 24時間365日稼働(ネットワーク基盤) |
| 主要用途 | 巨額決済・リテール送金など幅広い実績 | 現在は主にリテール・海外送金用途での採用が進行中 |
4.【シミュレーション】日本→フィリピンに10万円を送る場合
実際に10万円を海外送金する場合の一例として、手段によって構造やコスト感がどのように異なるのかの試算イメージを比較しました。
| 送金手段 | 手数料 | 為替コスト | 合計 | 着金時間 |
|---|---|---|---|---|
| 大手銀行 (SWIFT) | 約4,500円 | 約3,000円 (3%) | 約7,500円 (7.5%) | 3営業日以上 |
| Wise(ワイズ) | 約700円 | 実勢レートに近い(小さなスプレッドあり) | 約700円 (0.7%) | 当日〜翌日 |
| Western Union | 約1,500円 | 1〜5% | 約2,500円〜 (2.5%+) | 数時間〜翌日 |
| SBIレミット (XRP経由) | 約1,600円等 (額による) | 別途レート反映 | 合計コストは利用時の為替による | 処理は数秒(実際の受取は数分〜数時間) |
※ 上記は特定の条件下における2026年3月時点の一例としての試算イメージです。実際の手数料・為替スプレッド・着金時間等は、送金先や利用タイミング、市場条件等により大きく変動します。
5. Ripple Paymentsを活用する主要事業者
Rippleの関連ソリューションは、実用化の段階へ進み、特定の金融機関や送金業者による運用が行われています。
- SBIホールディングス(日本):アジア圏でのデジタルトランスフォーメーションの旗振り役。事業会社であるSBIレミットなどを通じて、日本からアジア諸国への実送金プロセスに活用
- Bitso(メキシコ):中南米大手の暗号資産取引所。米国−メキシコ間の主要な送金回廊において、ODL(Ripple Payments)の流動性ハブとして機能
- Tranglo(マレーシア):アジア太平洋地域をカバーするクロスボーダー決済企業。Rippleの出資を受け、RippleNetを活用して複数回廊へのネットワークを拡大
6. 規制環境:FATFトラベルルールと日本の法整備
暗号資産を使った国際送金を語る上で避けて通れないのが、規制環境の整備です。
トラベルルール等による国際的な協調
FATF(金融活動作業部会)の国際的なガイドラインに基づき、各国のマネーロンダリングおよびテロ資金供与対策(AML/CFT)は継続的に強化されています。日本では2023年6月からトラベルルールが導入され、送受信者情報の共有が厳格に運用されています。
日本における関連法規の議論
日本では暗号資産に関する法律のあり方について議論が続けられており、将来的な「金融商品取引法」等への移行を含め、税制・法制の制度設計が検討中・未確定の状況にあります。こうした法規制のアプローチが着実に進むことは、中長期的に機関投資家や事業者が参入するための基盤づくりにつながると期待されます。
7. 2026年〜2030年の国際送金市場の展望
グローバルな送金市場は長期的な拡大が見通されています。たとえば複数の民間リサーチ機関の調査において、リミッタンス(海外送金)市場やデジタル決済市場が中長期的に継続して拡大する傾向が示唆されています。
この成長を後押しするのが、スマートフォンの普及によるモバイル送金への移行と、新興国の銀行口座未保有者向けサービスの拡大です。長らく既存の送金システムへの依存が続いてきましたが、Ripple社CEOのブラッド・ガーリングハウス氏は、XRPや関連インフラが将来的にSWIFT流動性の一部(10%台規模など)を担う可能性があるとの強気な見方・独自の予測を示しています。
一方、SWIFTとの完全な対立構図ではなく、SWIFT側もISO 20022への移行を進めており(CBPR+の主要な共存期間は2025年11月に終了)、将来的にはSWIFTのメッセージング基盤とRippleの即時決済技術が補完的に共存する「ハイブリッドモデル」が実現する可能性も指摘されています。
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※ 本記事の価格・データは2026年3月時点のものです。最新の情報は各取引所・公式サイトでご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q. XRPを使った海外送金は本当に安いですか?
A. はい、XRPやRLUSDなどを活用する送金サービスでは、中継銀行への依存を減らせるため、単なる国際送金より低コストかつ高速になるケースがあります。従来は中継銀行を複数経由することでコストが膨らんでいましたが、その中間プロセスを省ける点がコスト削減に寄与しています。XRPLネットワーク上での台帳処理自体は、数秒かつ極めて低コストで行われます(※実際のコスト等は送金手段や通貨ペアにより異なります)。
Q. 個人でもXRPを使って海外送金できますか?
A. 現時点では、個人が「直接XRPを使って」銀行間送金を行うわけではありません。SBIレミットなどを通じて、私たちが法定通貨を日本円で入金し、裏側でXRPの仕組みが経由されることで、結果的にコスト削減やスピード向上の恩恵を受けられる仕組みになっています。
まとめ:国際送金の未来とXRPの可能性
XRPは国際送金の効率化を担う有力な技術の一つであり、既存インフラと競合・補完しながら普及が進んでいます。SBIレミットやBitso、Trangloなどの事例のように、近年では実際のクロスボーダー決済での活用報告が増えています。その新たな送金インフラの動きを、SBI VCトレードなどの国内取引所を通じて注視してみてください。
※暗号資産は価格変動により損失を被る可能性があります


